アジア株式市場は今年、過去最高の好調なスタートを切り、特に韓国と台湾の市場が上昇を牽引している。3年連続の上昇を経た後も、アジア株は米国株と比較して依然として割安な水準にあり、投資家の関心を集めている。本記事では、アジア株式市場の見通しに影響を及ぼす要因、潜在的なリスク、そして今後の見通しについて分析する。
iShares MSCI韓国ETFは2025年に91%上昇し、16年ぶりの大幅な上昇率を記録した。この力強い勢いは、サムスン電子やSKハイニックスなどの主要メモリ半導体メーカーが、AI関連需要の急増により業績を大幅に拡大させていることに起因する。市場アナリストは、メモリ価格の高騰が続き、韓国株の上昇が今年第1四半期まで持続する可能性があると見ている。

世界最大の先進AIチップメーカーである同社に対し、ゴールドマン・サックスやマッコーリー・グループを含む少なくとも6つの証券会社が予想を引き上げ、強気の見方が続いている。
第4四半期の純利益は27%増加し、営業利益率は3年ぶりの高水準となる50%超に改善するとの予測が市場を後押ししている。
主要ライバルである韓国のサムスン電子も、AI関連の需要急増に伴うメモリ価格の高騰を受け、第4四半期の利益が3倍に増加し過去最高を記録すると予想されている。
メモリ企業がAI需要を満たすために容量を優先しているため、市場全体で供給不足が進行し、PCやモバイルデバイス用チップの価格押し上げ要因となっている。
市場ウォッチャーは、メモリ価格が前四半期に40~50%上昇したと推定しており、第1四半期も同様の上昇を予想。サムスン電子とSKハイニックスの株価は、いずれも予想PERが10倍未満で取引されており、アジア株式市場におけるバリュー投資の対象としても注目されている。
アジア株式市場の見通しを考える上では、好材料だけでなくリスク要因にも目を向ける必要がある。現在、懸念材料として浮上しているのが中東情勢、特にイランを巡る動向だ。
ナスダック100指数は長期的なバリュエーション平均を大きく上回る水準で推移しており、地政学リスクの高まりが資金流出を加速させる可能性が指摘されている。
トランプ米大統領は、米国がイランと取引のある国からの輸入品に25%の関税を課すと発表した。この措置の詳細(中国に対する例外の有無など)は不明確だが、貿易摩擦が再燃するリスクはアジア株式市場全体の変動要因となり得る。
また、イラン国内の政情不安も市場の不確実性を高めている。ハメネイ師が米国との協議に反対する姿勢を示す中、ドイツのメルツ首相はイラン政権の終焉を示唆する発言を行った。
さらに、米国と中国の関係も複雑化しており、中国がベネズエラ産原油からイラン産原油への切り替えを検討しているとの観測も流れている。こうした地政学的緊張は、アジア株式市場を含むグローバルなリスク資産のセンチメントを冷やしうる要素だ。

アジア株式市場は、米国をはじめとするグローバルなマクロ経済環境にも大きく影響を受ける。現在の市場は「インフレ鈍化→利下げ」という楽観的なシナリオに固執している面があるが、もしFRB(米連邦準備制度理事会)がより長期間にわたり高金利を維持せざるを得なくなれば、金融環境の引き締めが進むことになる。
財政支出の減速や企業の雇用調整は、特にハイテク分野以外の企業業績の急減に直結する可能性がある。市場に「FOMO(取り残される不安)」心理が残る中でも、アジア株式市場を含むグローバル株式の業績見通しに対する下方修正リスクは看過できない。
一方で、アジア株式市場の重要な一角を占める中国市場に対して、強気の見方を示す国際的な金融機関が増えている点も見逃せまない。バーンスタイン、ソシエテ・ジェネラル、ゴールドマン・サックスなどが中国株強気派陣営に加わり、投資判断を「オーバーウェイト」に引き上げる動きが出ている。
ゴールドマン・サックスは、「人工知能による収益化、政策刺激策、流動性の過剰」を理由に、中国の利益成長率予想を引き上げ、2026年と2027年に14%まで加速すると予想している。
さらに、人民元に対する期待感の高まりも中国株式市場を下支えする材料だ。市場参加者の間では人民元高への期待が強まっており、一部では1米ドル=6.25人民元まで上昇するとの予測もある。シティグループやバンク・オブ・アメリカなども人民元を好意的に評価しており、これはアジア株式市場への国際的な資金流入を促す要因となり得る。

フランクリン・テンプルトンのストラテジストは、「人民元高はドル建てリターンとリスクセンチメントを改善し、株式市場を押し上げる可能性がある」と指摘している。
また、中国の貿易黒字は新興市場への輸出シフトにより堅調を維持しており、自動車輸出は19.4%増加した。エコノミストは、中国企業の海外生産拡大や半導体需要に支えられ、この勢いが継続すると見ている。
信用取引比率を80%から100%に引き上げるという最近の決定は、市場の流れを変える可能性がある。資産運用担当者は、テクノロジーバブルの拡大リスクを冒すよりも、バリュー株への投資を増やす誘惑に駆られるかもしれない。
アジア株式市場は、AI需要を背景とした韓国・台湾の半導体セクターの好調さを原動力に、強固なスタートを切った。米国株との比較で見た割安感も、資金を惹きつける材料となっている。
しかし、アジア株式市場の見通しを楽観視するだけでは不十分だ。イラン情勢に端を発する地政学リスク、高金利環境の長期化に伴うマクロ経済の逆風、そして中国経済の回復持続性に対する問いは、引き続き注意深くモニタリングする必要がある。
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